メイクでもファッションでもそうですが、美しく見せるためには、様々な努力が必要で、それは建築でも同じです。
例えば、右写真A,B→ を見ていただけると分かるように、建物1階の窓にはシャッターがついています。 さらに近くから撮影した写真Cが下↓です。
この写真を見ているだけでは、どこにデザインがしてあるか、気付かれないかもしれません。しかし、右の写真D→を見てみるとどうでしょう。 このように、本来窓に付けるシャッターは「シャッターボックス」という箱がサッシ上につき、どうしてもデコボコした造形になってしまいます。デザイン的にもシンプルな形状とはいえないでしょう。 最初にお見せした写真A,B,Cは、後で見たDの写真と同じ種類の シャッターを使っていますが、なぜこのようなデザインが可能なのでしょうか?
それは、下のイメージF↓のように、寸法やサイズを細かく検討・ 調整し、シャッターボックスの出っ張りを隠しているからです。
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さらに面白いことは、この建物における計画の進め方です。 それは、プランなどの大きなレイアウトと、小さい部品の寸法が、同時進行で進められた点です。
このシャッターを例にしてみると、実はこの建物の高さの設定の要は、このシャッターの高さ2,654mmで、建物の高さの各寸法設定を、この2,654mmから全てを割り出しています。つまり、このシャッターを無理なく隠すというコンセプトから、建物全ての高さ寸法を忠実に洗い出し、計画しているのです。
このように、細やかな計算とアイデアで、建築家のデザインは決定されていきます。 |
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設計のアイデア | |
右のイメージA,B→をご覧ください。 イメージAには吹抜けの上に梁がありますが、イメージBは梁がありません。このように2つを比べてみると、イメージBの方が空間が広く見えます。
この計画では、お客様のご要望で、「LDKの天井を高くしたい」という項目がありました。 もちろん、色々なお客様がいらっしゃるので、あえて梁がむき出しのデザインを好まれる場合もありますし、その時は、そのご要望通りにデザイン計画します。 しかしこの計画では、広いLDKの視覚的な伸びのために、梁の無い高い天井が好ましいと考えました。
「梁を無くすんだから、普通に取れば良いのでは?」と思うかもしれませんが、建物の柱や梁を取る事は、構造的な検討を十分しないと安全ではありません。 つまり、梁がむき出しのデザインの方が、デザイン的には遥かに簡単なのです。 通常、平屋建ての確認申請に構造計算は不要ですが、この計画では あえて構造の専門家に入ってもらい、構造解析をしてもらいました。 さらに現場では、その柱と梁にかかる力を、いかに材料同士が伝え合うかを、大工棟梁と話し合い、工事を進めました。
オオタデザインは一つのデザインの為だけに形状を変更するのではなく一つの変更が、2つ、3つのデザインを兼ねる事が出来るように、 常にアイデアを絞ります。
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結果的には柱が通常の2倍のサイズとなりましたが、左下写真C←のように、天井が見渡せる開放感のある空間となりました。
さらに下写真D↓のように、無駄なスペースが出来ないように、大きくなった柱部分と壁の隙間を、カーテンレールの取り付け場所とすることで、とてもスッキリした窓周りのデザインになりました。
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世間では意味なく面白い形や、やたら目を引く色を使い、いかにも「デザインしました!」というような建物が多いですが、オオタデザインオフィスは「さりげないデザイン」の方が、好ましいと考えています。
右の写真→の扉も、一見普通の扉に見えますが、ちゃんとデザインしてあります。 どこかお分かりでしょうか? よく見てください。
この扉は引き戸ですので、ヒンジや蝶番はありません。 さらに、床にはレールがありますが、天井にレールはありませんよね? しかし、扉は倒れず立っています。 扉はどこで支えられているか分かりますか?
これは下図のように、「ガイド」という金物が天井と扉の間にしっかり隠されており、扉の転倒を防いでいます。 こうする事で、レールの無い、スッキリしたシンプルな扉と空間に見えます。
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普段気付かないけど、ある時ふっと、 「あれ、これって、どうなってるの?」 と思ってもらえるような、主張し過ぎない、 静かなデザインが好きです。 |
この右の写真のトイレでは、足元に間接照明が入っています。 「ということは、照明器具を取る付けるために、間接照明のある壁を厚くしているの?」と思われた方、そうではありません。
平面計画では、トイレの横をタタミスペースの押入れとしました。 (そうすることで、音の漏れも防げます。) タタミスペースは、腰を掛けれるように35cm高くしてありますので、押入れの床もフロアから35cm高くなりました。
タタミスペースの下は「掘りごたつ」としましたが、通常押入れの下は使いようがありません。 (床下収納にしたら、押入れの物を全部のけないと、収納できなく、不便ですよね。)
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そこで左のイメージ←のように、トイレ側に意味のある間接照明を設置しました。 この中には照明以外にコンセントが内蔵されており、冬場の小型ヒーターや夏場の小型扇風機などもつなげることができます。
オオタデザインは、「切り捨てるところはしっかり切り捨て、使える所は出来るだけ活用する」そんなアイデアを、デザインに活かしていきます。
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上で紹介したアイデアは、ごくごく一部のアイデアです。
オオタデザインの作る一つの建物に、このようなアイデアが何百個も格納されている、といっても過言ではありません。
予算がいくらでもあり全てオーダーで作れば、ある意味デザインも簡単ですが、もちろん全ての物件はそうではありません。 それぞれに決められた予算があり、その予算に合わせて材料や工法を選定していきます。 その中で、既製品を使うことになったとしても、決して既製品を単に付けるというわけではなく、そのサイズや形を吟味し、計算し、想像して建物に合わせる努力をします。
その「考える」という行為自体が、デザインとアイデアの美しい形だと信じています。
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↑ドアノブの無いスッキリしたデザインの玄関ドア。 (ちなみに開け方分かりますか?) |